診療内容

  1. 頻尿や尿失禁などの排尿障害をきたす疾患(前立腺肥大症や過活動膀胱、切迫性・腹圧性尿失禁など)
  2. 前立腺がんや膀胱がん、腎臓がんなどの泌尿器科悪性腫瘍(がん)
  3. 膀胱炎や尿道炎などの尿路や性器の感染症
  4. 腎・尿管結石などの尿路結石症
  5. 小児の泌尿器科疾患(停留精巣や亀頭包皮炎など)
  6. 勃起不全(ED)などの性機能障害、男性更年期障害(LOH症候群)

その他、泌尿器科に関するご相談をお受けします。

次に、よくみられる泌尿器科疾患や症状についてご説明します。

 

血尿

血尿には、検診や人間ドックなどで指摘される「顕微鏡的血尿」と、トイレで赤い尿に気づく「肉眼的血尿」があります。

「顕微鏡的血尿」も血液の量が少ないので見てもわかりませんが、尿に血液が混じっています。「肉眼的血尿」と比べると、血尿をきたす病気が隠れている可能性は低いのですが、そのままにしておくと重大な病気につながることもありますので、泌尿器科受診をお勧めします。

これに対し、「肉眼的血尿」は尿路結石症(腎結石や尿管結石など)や膀胱炎、泌尿器のがん(膀胱がんや腎臓がんなど)などの病気が潜んでいる可能性があります。いずれも、血尿をきたす病気をみつけることが必要ですので泌尿器科受診が必要です。

 

頻尿

頻尿とは排尿の回数が多く、尿が近い状態のことです。日中にもみられますが、特に夜間、就寝中に何度もトイレに起きるようになり受診される方が少なくありません。1日の尿量は多くないのに(1日尿量は1000~1500mlといわれています)、1日の排尿回数が9~10回以上を頻尿といい、特に就寝後の1~2回以上の排尿を夜間頻尿といいます。頻尿の原因としては前立腺肥大症や過活動膀胱、膀胱炎や下部尿路結石、神経因性膀胱による残尿、膀胱がんなどの泌尿器科の病気が考えられますが、これ以外にも糖尿病や脳の病気による膀胱の排尿筋の機能低下から残尿量が増加することにより頻尿が出現します。また最近は夜間の尿量の増加(夜間多尿)による頻尿が問題となっています。夕方以降の過度の水分摂取、特にアルコールやカフェインの摂取、塩分の高い食事摂取の習慣などが夜間多尿による夜間頻尿の原因となっていることが多く、注意が必要です。

 

膀胱炎

排尿後痛や残尿感、頻尿などの症状をきたす膀胱炎は、尿道から大腸菌などの細菌が膀胱に侵入しておこる病気です。圧倒的に女性に起こりやすいのですが、これは女性の尿道が約4cmと短く、膣や肛門に近いために女性の尿道には常に細菌が侵入しているからです。健康な状態であれば膀胱炎を発症することはあまりありませんが、過労やストレスなどで免疫力が低下している時やトイレを長時間がまんしたり水分摂取の少ない方では、入ってきた細菌により膀胱粘膜の炎症を起こしてしまいます。

膀胱炎の初期であれば残尿感や頻尿などの症状がみられますが、進行しますと排尿後痛や血尿が出現し、さらに突然、40度近くの高熱や腰背部痛が出現する急性腎盂腎炎に至り、入院が必要になることもあります。

治療は十分な水分摂取と抗菌薬の内服ですが、ほとんどの方で内服1~3日で症状が軽くなり1週間ほどで治ります。薬は4~5日分処方されますが、最初の数日で症状がなくなっても薬の服用はやめないようにしましょう。膀胱炎を繰り返す原因にもなります。膀胱炎の予防は、水分の補給、疲れをそのままにしないことが大切です。

 

過活動膀胱

過活動膀胱とは突然、我慢できないほどの強い尿意が起きる尿意切迫感を主症状として、通常は頻尿もみられます。トイレに間に合わなくて漏らしてしまうこと(切迫性尿失禁)もあります。以下の4項目の頻度が高い時には過活動膀胱が考えられますが、一方で膀胱炎や膀胱結石、膀胱がんなどでも同じような症状を示しますので、正確な診断に基づく治療が必要です。治療としては薬物療法とともに膀胱容量を少しずつ増加させるための膀胱訓練を勧めます。

1)朝起きた時から寝るまでに何回くらい尿をしましたか?

2)夜寝てから朝起きるまでに、何回くらい尿をするために起きましたか?

3)急に尿がしたくなったり、我慢が難しいことがありましたか?

4)急に尿がしたくなったり、我慢できずに尿を漏らすことがありましたか?

 

前立腺肥大症

前立腺は男性の生殖器の一つで膀胱の下方に位置し尿道の全周を取り囲むように存在していますので、前立腺の内側の組織が肥大して尿道を圧迫することで、排尿障害などを引き起こす病気が前立腺肥大症(良性の病気)です。前立腺がんとは異なり、基本的には生命にかかわることはありませんが、放置しますと尿が全く出なくなり腎不全に至ることもあります。一般的に50歳以上で症状が出始め、その後、尿が出にくい、尿の線が細い、頻尿などの症状があらわれます。

肥大した前立腺の大きさが軽度~中等度で症状が軽い場合は、薬物療法(α1-ブロッカーなど)が行われます。この薬は非常に良く効く薬ですが、基本的には生涯飲み続けなければなりません。さらに前立腺が大きくなった場合などは薬の効果がみられなくなってきます。この際には肥大した前立腺を縮小する薬を追加したり、手術治療が必要となります。手術治療には、内視鏡を用いて開腹せずに電気メスで削り取る方法やレーザーで剝がし取る方法と、開腹して前立腺を摘出する方法があります。肥大した前立腺の大きさなどにより治療方法が選択されます。

 

前立腺がん

前立腺の内側の組織に発生して排尿障害などを引き起こす前立腺肥大症(良性疾患)とは異なり、前立腺がんの多くは前立腺の外側に発生します。このため、がんの初期は無症状です。進行すると排尿困難や血尿、さらにはリンパ節や骨、肺などへの転移をきたします。症状がない早期に診断し、治療を行うことが必要です。

前立腺がんの診断は、針生検を行って採取した検体標本にがん細胞が検出された場合は前立腺がんと診断されます。その後、リンパ節や骨などへの転移の有無を腹部CTや骨シンチ(または全身骨MRI)などの検査を予定して調べます。これらの検査結果から前立腺全摘手術(開腹手術またはロボット支援手術)や放射線治療(外照射治療、小線源挿入密封治療、陽子線治療)などの根治的治療や内分泌療法などの治療法を選択することになります。

また採取した検体標本にがん細胞が検出されなかった場合でも、がんが小さくて生検針が癌に当たらなかった可能性もあります。小さながんが存在している場合には必ず進行して大きくなります。大きくなればPSA値もこれに伴って上昇してゆきますので、定期的(通常は3か月ごと)なPSA採血検査が必要です。

 

尿路結石症

尿管結石症は、腎臓でできた結石が尿管に移動して詰まり、腎臓からの尿の流れが妨げられるために強い痛みが突然出現する病気です。結石の多くは腎臓で形成されます。腎臓にある間は痛みはありませんが、結石が尿管に詰まり、尿の流れがせき止められて腎盂・腎杯・尿管などの尿路が拡張した状態(水腎症、水尿管症といいます)になると、神経を刺激して刺すような強い痛み(疝痛発作)が起こります。同時に血尿や吐き気、嘔吐、発熱を伴うこともあります。

また腎臓に細菌感染が起こると高熱を伴う急性腎盂腎炎、同時に両側の尿管に結石が詰まると急性腎不全に至ることがあります。これらの合併症は命を脅かすことにもなりかねませんので、直ちに専門医による治療が必要です。

当院では検尿、デジタルレントゲン撮影、腎超音波検査などを行っていますが、必要に応じて連携医療機関での腹部-骨盤CT検査を予約しますので受けていただきます。結石の診断(結石の場所や大きさなど)結果から自然排石が可能であるかを判断し、積極的な手術治療(ESWL;対外衝撃波による結石破砕術術)、(TUL;経尿道的尿路結石砕石術)が必要な場合は治療可能な連携医療機関へ紹介いたします。

治療方針

1)4mm以下の結石

基本的には鎮痛剤などの薬剤を使い自然排石を待つ保存療法が中心になりますが、排石まで時間がかかったり疼痛発作が頻回にみられる場合や急性腎盂腎炎を合併する場合などは、積極的にESWLやTUL等の治療が必要となることがあります。

2)10mm以上の結石

この大きさでは自然に排出する可能性は低いので、ESWLやTUL等の手術が必要です。

3)5~9mmの結石

結石に大きさが上記 1)2) の中間にあたる場合、4mm以下の結石と同様にまず保存療法で治療しますが、日常生活に著しい影響がでる場合は必要に応じてESWLやTUL等の手術治療が必要となります。

  • ESWL(体外衝撃波結石破砕術 ) とは、体外装置によって造られた衝撃波を結石にむけて集中させて結石を砕く治療法です。砕かれた砂状の結石は、尿と一緒に体外へ排出されやすくなります。
  • TUL(経尿道的尿路結石砕石術)とは尿道から内視鏡(軟性尿管鏡など)を挿入し、観察下でレーザーなどを用いて砕石を行う治療法です。